戦時中の貯金箱


 貯金箱の形や表示には、時代を色濃く反映したものが多く見られます。特に戦時中には、戦時色の強い貯金箱が、数多く残されています。


日本の兵隊さん

 上段、左側から、陸兵と軍用犬、陸兵の将校、海兵の将校、海兵です。
 下段は、その裏側と底です。
 一般的に小型で貯金の用には適さず、お金を出す時には、壊さざるを得ません。実用的よりも、諸々の宣伝に重点が置かれた様です。


戦車・砲弾類

 左から戦車2台、砲弾2個、水雷です。
 右から二番目の砲弾には、「愛国貯金」、一番右の鉄製の水雷には、「貯蓄報国」、裏側には、「備えあれば、恐れなし」と標語が書かれています。戦争という時代背景を色濃く映し出している貯金箱です。
 その他に、「一銭報国」「銃後貯金箱、一石のお米も一粒より、一億のお金も一銭から」「貯蓄報国」堅忍持久」「勤倹貯蓄」「我等の一銭、御国の力」等の標語が有ります。
 戦時中は、積極的に貯蓄することを、盛んに宣伝しており、資源の少ない国土ならではの行動と言えるでしょう。


その他の戦時中の貯金箱

 上の写真、左側から、ダルマ、飯ごう、子供の貯金箱です。子供の貯金箱は、出征兵士を見送る姿でしょうか。子供に預金(戦費に転用)を勧める目的があったのでしょう。
 ダルマの裏側には、「一億一心」と書かれています。


「幻の陶貨」??

左の写真、余談になりますが、「未発行一銭陶貨」です。戦時中、金属は、ほぼ軍需用に使用されていたため、貨幣を瀬戸の焼き物で製作することが考案されました。しかし、流通前日に終戦となり、結局、世の中に出回ることのなくなった「幻の陶貨」となってしまいました。
 随分、昔のこととは言え、ここまで来るとは、なんともやり切れない結末で、時の風に流されてはいけない、大きな教訓です。 実物の一銭陶貨は、本当に小さな、粗末なものです。とても貨幣としての使用には、耐えられそうも有りません。