福助貯金箱

縁起物の福助人形は、江戸時代の中頃には存在したと言われています。
 その福助は、実在の人物がモデルになったとの言い伝えが有り、三人の説が有ります。

 一人目は、京都の呉服店「大文字屋の主人」、
 二人目は、滋賀のもぐさ店「亀屋左京の番頭」、
 三人目は、摂津の農夫の子「佐太郎」です。
いずれも、出世、繁盛、幸運に恵まれた人達です。

 福助の特徴は、頭でっかちで、福耳の持ち主、背が低いこと、そして、象徴となっているのが、勤勉で、正直者と言うことです。
 以来、福助さんは、商売繁盛・家内安全の神様として奉られています。

 この様な福助さんが、明治時代に入って、縁起物の貯金箱として、盛んに作られるようになりました。以下、時代毎に、福助貯金箱を見て見ましょう。


明治時代の貯金箱です。
 特徴は、おでこが出ていること、お金の出し口が無いこと(割らないと取り出せません)です。
 左側の貯金箱、模様・色が明瞭、全体に状態の良いものです。明治時代の福助貯金箱として、よく紹介されています。
 真ん中の貯金箱、多少、欠陥があるも、良い顔、良い色合いで、形もユニーク、何時見ても飽きません。
 右側の貯金箱、崩れ・汚れが目立ちますが、左手を上げて、招き入れています。福助貯金箱としては、珍しいものかなと思います。
 背中に奇麗に、お金の入れ口が有ります。そして貯金箱の底には、お金の出し口が有りません。


 大正〜昭和時代の貯金箱です。
 左側の貯金箱、古さが、良い感じにでています。右側の貯金箱、昭和の、結構新しいものと思いますが、変わった貯金箱で、面白いと思います。


 現在のものです。
 右側の貯金箱、中国製で、陶磁器、顔も変わっていますが、とても奇麗で、インテリアとして、見栄えがします。


 これも現在のものです。
 左側の貯金箱、「おじぎ福助」と言われ、「いらしゃいませ」、「ありがとうございます」の気持ちを、卒直に表現したもので、大変人気があります。右側の貯金箱、福助さんでは無く、奥さんだと言われているお多福さんです。最近のものですが、良く出来ています。
 ところで、この、おじぎ福助さん、よくよく見ると、下を向きながら、「あかんべー」をしています。いろいろな福助さんが居るものです。